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潰瘍性大腸炎の治療:ステロイドの使い方を中心に

潰瘍性大腸炎(UC)の患者様は現在17万人を超えております。
私どもクリニックでは主に軽症から中等症の患者様の診療にあたっております。
重症の患者様に関しては、当院では抗TNFα抗体製剤であるインフリキシマブ®レミケード、アダリムマブ®ヒュミラの治療導入までは対応しておりますが、血球成分除去療法、タクロリムス経口投与、シクロスポリン持続注入療法の適応および外科的治療の必要な患者様に対しては、近隣あるいあ患者様の希望される高次医療機関へご紹介させていただいております。

今回は、中等症潰瘍性大腸炎の治療で重要なウエイトを占めるステロイド治療についてお話させていただきます。
5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤では寛解導入が困難な場合に第一選択薬となる重要な薬剤です。
その使用方法は

flower2寛解導入初期投与量
  中等症:プレドニゾロン 30〜40mg/日
  重 症:プレドニゾロン 60〜80mg/日
*臨床経過、内視鏡所見、ステロイド治療歴などを考慮し総合的に投与量を決定

ステロイドは非常に強力で効果が期待できる薬剤ですが、常に副作用の問題悩まされます。ざ瘡、満月様願貌(ムーンフェイス)、消化性潰瘍、精神症状、不眠、内分泌(ホルモン)異常、白内障、骨粗鬆症など多種多様な副作用を認め、患者様の生命予後にも影響しかねない合併症もございます。

「ステロイドはそう投与量が10,000mgを超えると重篤な副作用リスクが高まります」
*周術期合併症のリスクも高くなることから、10,000mgを超える患者様については定期的な手術を選択肢の一つとして考慮しなければなりません。

以上の点から、

「寛解導入後は、ステロイドからの離脱(ステロイドフリー)を目指す」

flower2寛解導入後は、2週間を目安に、20mgから10mgずつ減量し、投与量が20mg以下になれば2週間で5mg程度ずつ減量していく
*ステロイドの減量はデリケートな作業ですから、患者様の臨床経過を慎重に見極めながら行っていきます。内視鏡的寛解の有無も重要な指標になります。

flower2ステロイド難治例に対する治療
ステロイドで寛解導入できない抵抗例やステロイド漸減中に再燃するステロイド依存例などの難治例に対しては、冒頭にも申し上げたように、インフリキシマブ、血球成分除去療法、タクロリムス、アザチオプリン等を用いて、速やかに寛解導入後、ステロイドフリーを目指すことになります。

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