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非空腹時の資質検査:脂質異常症、コレステロール、中性脂肪(TG)

検診や通院中の採血検査で、「午前中に食事を食べないで来院ください」とはよく耳にする文言です。
これは血糖や脂質(コレステロール、中性脂肪)など、食事によりその数値が影響を受けるであろう項目に留意した注意です。

実際の医療現場(実臨床)においては、絶食が困難な患者様もおり、診療や検査の受療勧奨の妨げとなる現状もございます。

この様な背景から、脂質プロファイルに関して、空腹時の検査値に代えて、非空腹時の検査データを用いることの臨床的意義が評価されました。
その結果、非空腹時試料では、一部の脂質において空腹時試料に比べ若干の上昇が見られたものの、いずれも臨床的に優位な差ではなかったと結論されています。
このことから、欧州動脈硬化学会(EAS)と欧州臨床化学/臨床検査連盟(EFLM)は

「脂質値の測定を目的としたルーチン検査は、空腹時ではなく非空腹時に行うことを推奨する」

とい言ったステートメントを発表しています。
この声明では、脂質検査の受診率を高めるため、非空腹時の脂質プロファイルをルーチンで用いることを推奨しています。

今回の声明での非空腹時試料に基づく脂質異常の基準は

monkeyTG(中性脂肪):175mg/dL以上
monkeyTC(総コレステロール):190 mg/dL以上
monkeyLDL-C(悪玉コレステロール):115 mg/dL以上
monkeyRLP-C(レムナント様リポタンパクコレステロール)計算値:35 mg/dL以上
monkey非HDL-C計算値:150 mg/dL以上
monkeyHDL-C(善玉コレステロール):40 mg/dL以下
monkeyapoA1:125 mg/dL以下
monkeyapoB:100 mg/dL以上
monkeyLP(a):50mg/dL(80パーセンタイル)以上

とされています。
空腹時と非空腹時で最も差があったTGに関しては、上記の非空腹時基準値
に対応する空腹時試料での基準値は150 mg/dL以上でした。
「TGに関しては、非空腹時のTGが440 mg/dLを超える場合には、空腹時の採血を考慮しても良い」と付け加えられています。

以上の様に患者様のメリットの多い非空腹時採血ですが、これらは欧州の試験を基にしたステートメントであり、そのまま私たち日本人に当てはまるものではございません。
私見ではごあいますが、非空腹時採血は、実臨床では非常に有用であり、欧州の診断基準を日本人当てはめても比較的妥当性があるものではないかと考えております。今後は日本国内での非空腹時採血の有用性に関わるエビデンスが出てくるとに期待したいですね。

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