新着情報

コラム

肝硬変の最多原因は?予防のポイントについても解説

肝硬変は、さまざまな原因によって肝臓に慢性的なダメージが積み重なることで、発症する病気です。

肝硬変は初期にはほとんど症状がなく、気付いたときには進行していることも少なくありません。

そのため、どのような原因で起こるのか、どのような予防方法があるのかを理解しておくことが大切です。

この記事では、肝硬変の原因について詳しく解説します。

肝硬変の予防方法もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

肝硬変とは

医師の手と肝臓のイメージ画像

肝硬変とは、肝臓が慢性的にダメージを受け続けた結果、正常な組織が線維化して硬くなり、本来の機能が低下してしまう病気です。

肝臓はお酒の飲み過ぎや慢性肝炎、生活習慣の乱れなどが原因で炎症を起こすことがあります。

この炎症が繰り返されると、壊れた肝細胞を修復しようとして線維と呼ばれる硬い組織が増えていきます。

この線維が肝臓全体に広がる状態を『線維化』といい、それがさらに進行した段階が肝硬変です。

また、肝臓には栄養の代謝や貯蔵、有害物質の分解、血液を固める成分の生成など、多くの重要な役割があります。

しかし肝硬変が進むと、こうした働きが十分に行えなくなり、体調不良やさまざまな合併症につながることがあるため注意が必要です。

初期段階では自覚症状が少ないため気付きにくいですが、進行すると日常生活に影響が出ることもあります。

肝硬変の最多原因はアルコール

ビールジョッキで乾杯している手元

肝硬変にはさまざまな原因がありますが、近年最も多い原因はアルコールであることがわかっています。

以前はウイルス性肝炎が主な原因とされていましたが、治療の進歩や生活習慣の変化により、大きく変わってきました。

ここでは、調査結果に基づく肝硬変の主な原因について解説します。

2023年の調査ではアルコール性肝硬変が増加

2023年に発表された全国調査では、アルコール性肝硬変が大きく増加していることが示されました。

この調査は、日本肝臓学会が中心となり、全国の医療機関を対象に実施されたものです。

2018年から2021年の間に新たに肝硬変と診断された症例を集計した結果、アルコールが原因と考えられる肝硬変は全体の35.4%を占め、最も多い割合となりました。

(参考:わが国の肝硬変の成因はアルコール性がトップに:慢性肝疾患の成因がウイルス性から非ウイルス性へと進行している実態を全国調査で明らかに

これに対し、C型肝炎やB型肝炎などのウイルス性肝炎による肝硬変は、以前と比べて割合が低下しています。

この結果から、飲酒習慣が肝硬変の大きな要因になっている現状が明らかになりました。

特に日常的にお酒を飲む習慣がある場合、自分では「飲み過ぎではない」と感じていても、長年の積み重ねが肝臓に影響している可能性があります。

メタボリック症候群による代謝機能不全も原因

肝硬変の原因として、メタボリック症候群に関連する代謝機能不全も注目されています。

メタボリック症候群とは、内臓肥満に加え、高血圧・高血糖・脂質代謝異常などが重なった状態を指します。

このような状態が続くと、肝臓に脂肪がたまりやすくなり、脂肪肝や代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)へと進行することがあるため注意が必要です。

代謝機能障害関連脂肪肝炎は、以前は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ばれていた肝臓の病気です。

お酒をほとんど飲まない人でも起こり、炎症が続くと線維化が進み、肝硬変に至る場合があります。

近年の調査では、代謝機能障害関連脂肪肝炎を原因とする肝硬変の割合が以前より増えていることが報告されています。

肝臓の健康を守るためには、アルコールを控えるだけでなく、体重管理や食事内容の見直しも重要といえるでしょう。

ウイルス性肝硬変は減少傾向にある

アルコール性肝硬変が増えている一方で、B型肝炎やC型肝炎といったウイルス性肝硬変は減少傾向にあります。

これは、医療の進歩による影響が大きいと考えられるでしょう。

ただし、ウイルス性肝炎が減っているからといって、肝硬変全体が減っているわけではありません。

アルコールや生活習慣による発症が増えているため、肝硬変は依然として注意が必要な病気といえます。

肝硬変のアルコール以外の原因

肝臓の模型をお腹に当てている人

肝硬変はアルコールだけでなく、さまざまな病気や要因によって引き起こされます。

代表的な原因は以下の通りです。

  • 自己免疫性
  • B型肝炎ウイルス(HBV)感染
  • C型肝炎ウイルス(HCV)感染
  • 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)
  • 薬物・有害物質の摂取

ここでは上記の原因についてそれぞれ解説します。

自己免疫性

自己免疫性の肝疾患は、免疫システムが誤って自分自身の肝臓を攻撃してしまうことが原因で起こるものです。

本来、免疫は細菌やウイルスなどの異物から体を守る役割を持っていますが、その働きが乱れることで肝臓に炎症が起こります。

炎症が長期間続くと、肝臓の組織が傷つき、肝硬変へ進行する可能性があるのです。

自己免疫性肝疾患には、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎などがあります。

いずれも明確な発症メカニズムはいまだ解明されていませんが、薬を自己判断で中止せず、医師の指示に従って治療を継続することが大切です。

B型肝炎ウイルス(HBV)感染

B型肝炎ウイルスの感染が長期間続くと、肝臓に慢性的な炎症が起こり、肝硬変へ進行することがあります。

感染直後は急性肝炎として発症する場合もありますが、気付かないまま慢性化し、何十年もかけて肝臓が傷んでいくケースも少なくありません。

B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染します。

出生時の母子感染のほか、傷口への体液の付着、性行為、医療行為や器具の使い回しなどが感染経路です。

治療では、ウイルスの増殖を抑える薬を長期間服用し続ける必要があります。

自己判断で服薬を中止すると、肝炎が急激に悪化し、肝硬変や肝臓がんへ進むリスクが高まるため、症状が少ない時期でも治療を継続することが大切です。

C型肝炎ウイルス(HCV)感染

C型肝炎ウイルスの感染も、肝硬変の大きな原因の一つです。

感染後、約7割の人が慢性的にウイルスを保有する状態となり、長い年月をかけて肝炎が進行します。

初期は自覚症状がほとんどなく、だるさや疲れやすさを感じる程度の症状が多いため、気付かないまま肝硬変に進んでしまうことがあります。

主な感染経路は血液を介したもので、過去には輸血や血液製剤が原因となった例もありました。

不衛生な器具を使用したピアスの穴開け、刺青、性行為なども感染のきっかけになります。

また、現在はウイルスを排除する治療法が進歩しており、早期に治療を受けることで進行を抑えられる可能性があります。

ただし、すでに線維化が進んでいる場合や糖尿病の持病がある場合は、治療後も定期的な検査が必要です。

代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)

代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、飲酒習慣がなくても肝臓に脂肪がたまり、炎症が起こる病気で、以前は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれていました。

肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と深く関係しており、近年患者数が増加しています。

MASLDが進行した代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)では、肝臓への脂肪の蓄積に加え、炎症や線維化が起こり、肝硬変や肝臓がんのリスクが高まります。

MASLDの患者さんのうち1〜3割ほどは、MASHであると考えられており、注意が必要です。

MASLDは自覚症状が少ないため、健康診断で肝機能の異常を指摘されて初めて気付くことが多く、放置されやすい傾向があります。

炎症が進むと肝臓の線維化が起こり、元の状態に戻りにくくなるため、定期的な検査で肝臓の状態を確認することが大切です。

薬物・有害物質の摂取

薬や有害物質の影響で薬物性肝障害を起こし、それが原因となって肝硬変に進むことがあります。

医薬品だけでなく、健康食品やサプリメント、市販薬の長期使用が原因となる場合もあります。

肝臓は体内に入った物質を分解する役割を担っているため、負担が集中しやすい臓器です。

薬物性肝障害は、長期間の服用だけでなく、一時的に大量の薬を摂取した場合や体質に合わない薬を使用した場合にも起こります。

症状としては、だるさ・食欲低下・吐き気などが見られることがありますが、無症状のまま進行することも少なくありません。

早期であれば、原因となる薬を中止することで改善が期待できます。

しかし、気付かずに使用を続けると、慢性的な障害となり肝硬変に進む可能性があります。

肝機能の異常を指摘された場合は、服用している薬や健康食品を医師に伝えることが大切です。

肝硬変の予防方法

お酒を差し出されて断っている手元

肝硬変は、日々の生活習慣を見直すことで発症や進行を防げる可能性がある病気です。

具体的な予防方法として、以下が挙げられます。

  • アルコールをなるべく控える
  • 栄養バランスの整った食事を摂る
  • 感染症対策を行う
  • ストレスをため込まない
  • 定期的に運動する
  • 定期的に健康診断を受ける

ここでは上記6つの予防方法についてそれぞれ解説します。

アルコールをなるべく控える

肝硬変を予防するためには、アルコールを控えることが大切です。

毎日飲酒する習慣がある方や一度に大量に飲む方は、特に肝臓への影響が大きくなります。

肝臓に異常がない人でも、飲み過ぎが続けばリスクは高まります。

「少しなら大丈夫」と思いがちですが、肝臓はダメージが蓄積しやすい臓器です。

休肝日を設ける、量を決めて飲むなど、無理のない形で飲酒量を見直すことが、肝硬変の予防につながります。

栄養バランスの整った食事を摂る

肝硬変を予防するためには、栄養バランスの整った食事を摂ることが大切です。

脂っこい食事や糖分の多い食品ばかり摂っていると、脂肪肝を引き起こし、肝硬変へ進む可能性があります。

主食・主菜・副菜の揃った食事を心がけ、野菜やたんぱく質を適度に取り入れることが大切です。

ただし、すでに肝機能が低下している方の場合は、たんぱく質の量を調整しなくてはいけない場合もあるため、医師や栄養士の指示に従いましょう。

感染症対策を行う

肝硬変の原因となる感染症への対策も重要です。

特にB型肝炎やC型肝炎は、慢性的な肝炎を引き起こし、長い年月をかけて肝硬変へ進行することがあります。

これらの感染症は、感染しても初期は自覚症状が少ないため、知らないうちに進行している場合もあります。

感染を防ぐためには、予防接種を受けたり、衛生的な生活習慣を心がけたりすることが大切です。

ストレスをため込まない

ストレスをため込まないことも、肝硬変の予防につながります。

強いストレスが続くと、飲み過ぎや食べ過ぎ、生活リズムの乱れを招きやすくなります。

こうした生活習慣の乱れは、結果として肝臓に負担をかける原因になるため注意が必要です。

ストレスを完全になくすことは難しいですが、意識的に休息を取る、趣味の時間を作る、環境を見直すなどして、ストレスを発散しましょう。

忙しい日常の中でも自分なりのリラックス方法を見つけ、無理を続けないことが大切です。

定期的に運動する

肝硬変を予防するためには、定期的に運動することが大切です。

運動不足が続くと、肥満や脂肪肝を招きやすくなり、肝臓への負担が増えます。

軽い運動でも習慣化することで、体重管理や代謝の改善が期待できるでしょう。

激しい運動を行う必要はなく、ウォーキングや軽い体操など、軽く汗ばむ程度の運動を続けることがポイントです。

ただし、すでに肝機能が低下している場合や体調に不安がある場合は、無理をせず医師の指示に従いましょう。

自分の体調に合った運動を継続することが大切です。

定期的に健康診断を受ける

肝硬変を防ぐためには、定期的に健康診断を受けることが大切です。

肝臓は症状が出にくく、血液検査などで状態を確認しないと異常に気付きにくい臓器です。

健康診断では、肝臓に関係する数値や肝炎ウイルスの有無を調べることができます。

異常が見つかった場合、早めに詳しい検査や治療を受けることで、肝硬変への進行を防げる可能性があります。

自覚症状がなくても安心せず、定期的に検査を受けましょう。

まとめ

肝硬変の最も多い原因はアルコールですが、その他にも肝炎ウイルスや自己免疫の異常、薬の影響などが要因となることもあります。

肝臓は症状が出にくい臓器のため、異常に気付きにくい点が特徴です。

そのため、飲酒量の見直しや食生活の改善、適度な運動、感染症対策、定期的な健康診断などにより予防意識を持つことが大切です。

新宿トミヒサクロスクリニックでは、日本肝臓学会専門医による肝臓内科の診療を行っています。

専門性の高い検査・診断・治療が可能なため、肝臓の健康状態が気になる方はぜひ当院までご相談ください。

ページトップへ