逆流性食道炎の検査に内視鏡は必要?症状・原因・治療法や悪化させない習慣を解説
「逆流性食道炎と言われたが、内視鏡検査は必ず受けるべきなのか」「胸やけや喉の違和感、食後の不快感が続く場合は、内視鏡検査を受けた方がいい?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
逆流性食道炎は、症状や内視鏡所見の有無によって、検査や治療の考え方が異なります。
必ずしも全員が同じ対応を取るわけではなく、生活習慣の見直しが重要になるケースも少なくありません。
この記事では、逆流性食道炎で内視鏡検査をおすすめする理由・診断後の治療の選択肢・症状を悪化させないために日常生活で気をつけたいポイントについて、現在の状態が分かっている方にも役立つ形で分かりやすく解説します。
内視鏡検査で逆流性食道炎はわかる?

逆流性食道炎は、胃酸を含む内容物が食道に逆流することで粘膜に炎症が起こる病気です。
内視鏡検査は、食道粘膜のびらん・炎症の有無や他の病気の可能性を確認するのに有用です。
症状や経過によっては、問診や治療反応(PPIテスト)なども踏まえて総合的に判断します。
また、似た症状を示す食道がんなどの病気との区別にも役立ちます。
症状の原因を丁寧に見極めることで、その方に合った治療方針を考えることにつながります。
逆流性食道炎の特徴

逆流性食道炎は、胃と食道の境目にある下部食道括約筋(LES)の働きが弱まり、胃の内容物(主に胃酸)が食道へ逆流することで、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。
一時的な不調として軽く考えられがちですが、炎症が慢性化すると食道の狭窄や出血、さらにはバレット食道を経てがんへ進行する可能性もあるため、適切な評価と治療が重要です。
ここでは、逆流性食道炎の症状や原因を解説します。
症状
逆流性食道炎の症状は、食道だけでなく、のどや胸部など幅広い部位に現れるのが特徴です。
主な症状としては以下のようなものがあります。
- 胸やけ(胸が焼けるような感覚)
- 呑酸(酸味・苦味のあるものが喉まで上がる感じ)
- 胸の痛みや違和感
- 胃もたれ、げっぷが増える
- のどの違和感・痛み、声のかすれ
- 咳が続く
- 食べ物や飲み物がつかえる感じ
市販薬を飲むと一時的に症状が和らぐこともありますが、原因を治さないままでは慢性化してしまう可能性もあります。
また、胸の痛みは心臓の病気と症状が似ている場合があるため、自己判断はせず、医療機関での診察が大切です。
長期間の炎症が続くことでがんに進行するおそれも少なからずあるため、気になる症状が続く場合は、一度消化器内科での相談や内視鏡検査を検討しましょう。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎は、複数の要因が重なって発症することが多い疾患です。
ここでは、逆流性食道炎の主な原因を紹介します。
◆食生活・生活習慣
偏った食生活や生活習慣によって逆流性食道炎を引き起こす場合があります。
- 脂っこい食事・甘いもの・刺激物の摂りすぎ
- アルコールの過剰摂取
- 食後すぐに横になる癖
- 喫煙
これらの習慣は胃酸分泌を増やし、逆流を起こしやすくなるため控えましょう。
◆ストレス
強いストレスや慢性的な緊張状態が続くと、自律神経のバランスが乱れ、胃酸の分泌が過剰になったり、胃や食道の動きが低下したりします。
その結果、胃酸が食道へ逆流しやすくなり、逆流性食道炎を引き起こす、または症状を悪化させる原因となります。
仕事や人間関係による精神的ストレス、睡眠不足なども関連するため、生活リズムを整えることが重要です。
◆腹圧の上昇
腹部に圧がかかることで、胃の内容物が押し上げられ逆流しやすくなります。
腹圧は以下のような原因で上がることがあります。
- 体重増加・肥満
- 妊娠
- 猫背などの悪い姿勢
- ベルトや補正下着による締め付け
また、就寝時の枕の高さも腹圧を上昇させる原因になることもあるため、頭と背中の高さを同じにすることを心がけましょう。
◆薬の副作用
一部の喘息治療薬、心疾患や高血圧の薬などには、食道括約筋を緩める作用を持つものがあります。
薬を飲み始めてから胸やけや咳が出た場合は、副作用の可能性も考えられます。
◆食道裂孔の緩み
加齢などにより、横隔膜にある食道裂孔が緩むと、胃の内容物が逆流しやすくなります。
進行すると食道裂孔ヘルニアを合併し、症状が悪化することもあります。
逆流性食道炎の診断に内視鏡検査をおすすめする理由

逆流性食道炎は、症状だけでは判断が難しい場合が多く、似た症状を示す他の病気が隠れていることもあります。
そのため、正確な診断と適切な治療方針を立てるうえで、内視鏡検査(胃カメラ)は非常に重要な役割を果たします。
ここでは、逆流性食道炎における内視鏡検査の重要性なのかを診断方法を通して解説します。
逆流性食道炎の診断方法
逆流性食道炎の診断は、症状をもとに行う診断と内視鏡検査による診断の2つに分けられます。
まず行われるのが、問診による症状の評価です。
日本では、症状の頻度や強さを点数化する記入式アンケートであるFスケール(FSSG)が初期診断の目安として用いられることが多く、外来診療でも評価できます。
また、症状から逆流性食道炎が疑われる場合、胃酸の分泌を強力に抑える薬(PPI)を使用し、症状の改善の有無を見る治療的診断が行われることもあります。
この方法は手軽ですが、胃潰瘍や胃がん、食道がんなど他の疾患でも一時的に症状が軽くなることがあるため、重要になるのが内視鏡検査です。
胃カメラを用いることで、食道の粘膜に実際に炎症や傷があるかどうかを直接確認でき、逆流性食道炎であるかを確定診断できます。
可能であれば、治療開始前に検査を受けることで、より適切な治療選択につながります。
内視鏡検査でわかる逆流性食道炎の進行度
内視鏡検査では、逆流性食道炎の重症度を客観的に評価することができます。
その指標として用いられるのがロサンゼルス(LA)分類です。
LA分類では、食道粘膜のただれや炎症の広がり方により、以下の6段階に分けられます。
- グレードN:内視鏡的に異常を認めない状態(非びらん性胃食道逆流症)
- グレードM:明らかな傷はないが、発赤や白苔などの色調変化を認める
- グレードA:5mm未満の粘膜傷害がある
- グレードB:5mm以上の粘膜傷害が複数あるが、連続していない
- グレードC:粘膜傷害が連続して広がるが、全周の75%未満
- グレードD:全周の75%以上に粘膜傷害が及ぶ重症例
頻度としてはグレードN~Aの方が多いですが、重症度が高くなるほど、症状の持続や合併症のリスクが高まるため、内視鏡による正確な評価が重要です。
逆流性食道炎の合併症
逆流性食道炎は、放置するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。
代表的なものとして、食道粘膜の炎症が慢性化することで起こる食道狭窄や出血が挙げられます。
これにより、食べ物がつかえる感じや貧血症状が現れることがあります。
また、慢性的な炎症によって食道粘膜が変化した状態をバレット食道といい、将来的に食道がんへ進行するリスクが高まることが知られています。
そのため、内視鏡検査で異常を指摘された場合には、定期的な経過観察が重要です。
さらに、逆流性食道炎は胸の痛みを引き起こすことがあり、狭心症や心筋梗塞などの心臓病と症状が似ている場合があります。
自己判断せず、必要に応じて適切な検査を受けることが大切です。
逆流性食道炎の治療

逆流性食道炎の治療は、主に薬物療法と生活習慣の改善を基本とし、症状や重症度によっては外科手術や内視鏡治療が検討されます。
ここでは、逆流性食道炎の治療方法について紹介します。
投薬
逆流性食道炎の治療の中心となるのが薬物療法です。
主に使用されるのは、胃酸の分泌を抑える薬(PPIやPCAB)で、食道粘膜への刺激を減らすことで、胸やけや呑酸などの症状改善と炎症の治癒を目指します。
症状や内視鏡所見に応じて、食道や胃の粘膜を保護する薬や、消化管の動きを整える薬を併用することもあります。
これらを組み合わせることで、より高い治療効果が期待できる場合があります。
また、薬物療法と並行して、食後すぐに横にならない、前かがみ姿勢を避ける、体重管理を行うなどの生活指導を行うことで、治療効果を高め、再発予防につなげます。
外科手術
薬物療法や生活習慣の改善を十分に行っても症状が改善しない場合や、食道の出血・狭窄が慢性化している場合には、外科的治療が検討されます。
逆流性食道炎に対する代表的な外科治療としては、腹腔鏡下Nissen手術が行われています。
これは、胃の一部を食道の周囲に巻き付けることで逆流を防ぐ方法です。
高い効果が期待できる一方で、体への負担や入院期間が比較的長くなるため、慎重な判断が必要です。
内視鏡治療
近年、外科手術に代わる低侵襲な治療法として注目されているのが、内視鏡治療です。
その一つに内視鏡的逆流防止粘膜切除術(ARMS)があります。
ARMSは、胃カメラを用いて食道と胃のつなぎ目(食道胃接合部)の粘膜を一部切除し、その後に粘膜を再形成することで、逆流の原因となる接合部の緩みを改善する治療法です。
体表に傷を作らず、内視鏡のみで治療が完結するため、患者さんの身体的負担が少ないのが特徴です。
さらに、ARMSの改良法であるARMPでは、粘膜切除後に内視鏡的縫縮を行うことで、より安定した逆流防止効果と偶発症リスクの低減が期待できます。
鎮静剤を使用して行うため、治療中の苦痛は少ない点が特徴です。
内視鏡治療は、従来であれば外科手術が必要とされていた患者さんの多くに適応可能となり、治療時間が短い、入院期間が短い、回復が早いといった利点があります。
症状や病態を十分に評価したうえで、適切な治療法を選択することが重要です。
逆流性食道炎を軽減させるセルフケア

逆流性食道炎は、胃酸の分泌量や胃の動き、食道との境目の働きが乱れることで起こります。
症状を和らげるためには、薬に頼るだけでなく、日常生活の中でできるセルフケアを積み重ねることが大切です。
ここでは、逆流性食道炎を軽減させるために自宅でできるセルフケアを紹介します。
食事の内容・時間に気を付ける
逆流性食道炎の症状を軽減するためには、薬だけに頼るのではなく、日々の食事のとり方を見直すことが欠かせません。
特に、食事の内容・量・食べ方・時間帯は、胃酸の分泌や逆流の起こりやすさに大きく影響します。
まずは、次のようなポイントを意識してみましょう。
- 脂肪分やタンパク質が多い食事を控え、消化の良いものを選ぶ
- 一度にたくさん食べず、腹八分目を目安にする
- 早食いを避け、よく噛んでゆっくり食べる
- 毎日できるだけ同じ時間帯に食事をとる
- 就寝の3~4時間前までに食事を済ませる
脂肪分やタンパク質の多い食事は消化に時間がかかるため、胃の中に食べ物が長く残りやすくなります。また、食べ過ぎや早食いは胃の内圧を高め、逆流を引き起こす要因となります。
さらに、食事の時間が不規則だったり、就寝直前に食事をとったりすると、胃の消化が十分に進まないまま横になることになり、胸やけや呑酸の症状が悪化しやすくなります。
これらを意識することで、胃にかかる負担を減らし、胃酸の過剰な分泌や逆流を抑えることが期待できます。
ストレスをため込まない
ストレスが続くと自律神経が乱れ、胃酸の分泌が増えたり、胃の動きが低下したりすることがあります。
その結果、逆流性食道炎の症状が悪化するケースも少なくありません。
十分な睡眠をとる、軽い運動や入浴でリラックスする、意識的に休憩を入れるなど、日常の中でストレスをこまめに発散することも大切なセルフケアです。
過度な飲酒や喫煙を避ける
アルコールは胃酸分泌を促進し、胃や食道の粘膜を刺激します。
また、喫煙は胃酸の逆流を防ぐ筋肉の働きを弱める原因となります。
完全にやめることが難しい場合でも、量や頻度を見直すだけで症状悪化の予防につながります。
お腹を圧迫しない
体重の増加や妊娠、猫背などで腹圧がかかると、胃酸が逆流しやすくなります。
ベルトや締め付けの強い服装をすることでも腹圧はかかりますので、特に食後は、ウエスト周りに余裕のある服装で過ごすようにしましょう。
まとめ
逆流性食道炎は、胸やけや呑酸などの症状をきっかけに気づくことが多い病気です。
内視鏡検査では、食道の粘膜の状態を直接確認でき、治療方針を考える手がかりになります。
治療は薬によるものが中心ですが、症状や状態によっては内視鏡治療や外科的治療が検討されることもあります。
また、食事内容や食べ方、生活習慣を見直すことで、症状の軽減につながる場合もあります。
つらさを我慢せず、気になる症状が続く場合は医療機関に相談することが大切です。
『新宿トミヒサクロスクリニック』では、日本消化器病学会専門医が診察を行い、内視鏡専門医・指導医が、苦痛が少ない検査を心がけて検査を行っています。
胸やけなど胃の症状を感じた場合は、ぜひ一度ご相談ください。




