ヘリコバクター・ピロリ(Hp)除菌による胃がん予防:ヘリコバクター・ピロリ、Hp、萎縮性胃炎、集合細静脈(RAC)、除菌治療、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
日本ヘリコバクター学会より「Helicobacter pylori(H. pylori)感染の診断と治療ガイドライン(GL)」が発表されています。
2013年よりHp感染胃炎への治療が保険適用され、感染者全員が保険診療で除菌できる時代となりました。
これを踏まえ、最新のGL改訂版においては、「Hp感染者は全員除菌すべき」としており、Hp除菌治療が推奨レベルAとなっています。
高齢者の除菌治療に関しては、薬剤の副作用、身体機能の個人差が大きいことから一律の除菌治療には意見のあるところですが、胃がんとHp感染には明らかな因果関係があることの裏付けとも言えるわけです。
私どもから患者様にお願いしたいののは、
「どのような検査でもいいですから、Hp感染の指摘を受けている方は、先ずは専門医を受診し除菌の適否に関しての評価を受けてください」
と言うことです。
もちろん私どもの施設でもしっかりと対応させていただきます。
基本的に検診などでHp感染を指摘されて来た患者様には、胃カメラ:上部消化管内視鏡検査を予定させていくのが通常の診療の流れでございます。
Hp感染に伴う内視鏡診断においては
Hp未感染粘膜
現感染粘膜
除菌後粘膜
上記を念頭に内視鏡診断を進めて行くわけです。
2014年出版の「胃炎の京都分類」における上記内視鏡診断の重要ポイントは、
「集合細静脈の規則的配列(RAC)が未感染粘膜の所見」
「びまん性発赤が現感染粘膜の所見」
と定義されていることです。
内視鏡での胃粘膜の状態から、未感染者、現感染者、既感染者を判別し、必要があればHp感染の確定検査を効率良く行うことが可能になっています。
そして未感染者であれば定期的経過観察、現感染者であれば除菌治療、既感染者であれば経過観察と今後の診療見通しが立てられるのです。
Hp感染の可能性がある患者様は先ず専門医を受診されることをお勧めします