高血圧の症状は?自覚症状・合併症について解説
高血圧は、はっきりとした症状が出にくい病気です。
そのため、「少し血圧が高いだけ」「体調は悪くないから大丈夫」と考えてしまう方も少なくありません。
しかし、高血圧の状態が続くと、血管や臓器に負担がかかり、さまざまな症状や合併症につながる可能性があります。
この記事では、高血圧で起こる症状や合併症について詳しく解説します。
高血圧を指摘された場合の対処法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
高血圧とは

高血圧とは、血圧が基準値以上に高い状態を指します。
血圧は心臓が血液を送り出すときに血管へかかる圧力で、運動や緊張などによって変動します。
ただし、安静にしていても高い状態が続く場合は注意が必要です。
血圧が高い状態が続くと、血管の内側に負担がかかりやすくなります。
その結果、心臓や脳、腎臓などの臓器に影響を及ぼす可能性が高くなるのです。
また、『高血圧』は数値が高い状態を示す言葉であり、『高血圧症』は繰り返し測定しても基準値以上が続く場合に診断されます。
そのため、1回の測定結果だけで判断しないことが大切です。
高血圧の診断基準
高血圧の診断は、決められた基準値をもとに行われます。
日本では日本高血圧学会のガイドラインに基づき、測定する場所ごとに基準が定められています。
診察室で測る血圧では、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上の場合、高血圧と判断されます。
一方、家庭で測定する場合はやや低めに設定されており、収縮期血圧が135mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上が基準です。
重要なのは、1回の測定だけで決めない点です。
血圧は日によって変動するため、家庭血圧では複数日にわたって測定し、その平均値を見ることが推奨されます。
高血圧症の種類
高血圧症には、大きく分けて『本態性高血圧症』と『二次性高血圧症』の2つの種類があります。
本態性高血圧症
本態性高血圧症は、明確な原因を1つに特定できない高血圧症で、多くの高血圧症がこれに分類されます。
遺伝的な因子や生活習慣が関係して起こり、考えられる原因として以下が挙げられます。
- 塩分の多い食事
- 肥満
- 過度な飲酒
- 喫煙
- 運動不足
- 精神的なストレス
本態性高血圧症では、生活習慣を見直すことが重要な対策の一つです。
食事内容や運動習慣を整えることで、血圧の改善が期待できる場合もあります。
二次性高血圧症
二次性高血圧症は、体の中に血圧を上げる原因となる病気がある高血圧症です。
腎疾患や内分泌疾患(原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など)、睡眠時無呼吸症候群などが代表例です。
原因疾患に対する治療を行うことで、血圧の改善が見込める場合もあります。
高血圧の主な自覚症状

高血圧は、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多い病気で、「サイレントキラー」と呼ばれることもあります。
血圧が高くても、普段と変わらない生活ができてしまうケースも少なくありません。
ただし、血圧が急に上がったときや高い状態が続いた場合には、体にさまざまなサインが現れることがあります。
ここでは、高血圧の初期症状と合併症の可能性がある自覚症状について解説します。
高血圧の初期症状
高血圧の初期段階では、はっきりとした症状が出ないことが多いのが特徴です。
しかし、人によっては血圧の上昇に伴い、軽い不調を感じる場合があります。
代表的な症状として、以下のようなものが挙げられます。
- 頭痛
- めまい
- 肩こり
- 耳鳴り
- 動悸
- 息切れ
これらの症状は高血圧以外の原因でも起こるため、症状だけで判断することは難しいでしょう。
ただ、同じような不調が続く場合は、一度血圧を測ってみることが大切です。
家庭で定期的に血圧を測定することで、自分の体の変化にいち早く気付くきっかけになります。
合併症の可能性がある自覚症状
高血圧の状態が長く続くと、血管や臓器に負担がかかり、合併症が起こる可能性があります。
この段階になると、これまでとは違う強い症状が現れることがあります。
具体的には以下のような症状です。
- 突然の激しい頭痛や嘔吐
- ものが二重に見える
- 急激な視力低下
- 手足のしびれ
- 強い胸痛・動悸・息切れ
- 意識の混濁
- 言葉が出ない
- 尿量の減少や急激なむくみ
これらの症状は、脳や心臓、腎臓などに関係する病気が進んでいるサインの可能性があります。
上記のような症状が見られた場合は、すぐに医療機関に相談することが大切です。
高血圧により起こる合併症

高血圧の状態が長く続くと、血管に常に強い圧力がかかり、全身の臓器にさまざまな影響が現れます。
具体的には以下のような合併症につながることがあるため、注意が必要です。
- 動脈硬化
- 脳血管疾患
- 心臓疾患
- 腎臓疾患
- 血管疾患
- 高血圧網膜症
ここでは上記の合併症についてそれぞれ解説します。
動脈硬化
動脈硬化とは、血管が本来持っている弾力性を失い、硬くなってしまう状態のことです。
動脈硬化により血管の弾力性が低下すると、さらに血圧が上がりやすくなり、高血圧と動脈硬化が互いに悪影響を与える状態に陥ります。
この状態に陥ると血流が悪くなり、必要な酸素や栄養が全身に行き渡らなくなるため、全身の臓器に影響が及んでしまうのです。
具体的には、脳出血・脳梗塞、心臓の肥大・心不全、心筋梗塞、大動脈瘤、腎硬化症・腎不全など、さまざまな病気のリスクが高まります。
また、硬くなった血管は脆く、破れやすくなるため、脳出血やくも膜下出血のリスクが高まる点に注意が必要です。
自覚症状が出にくいからこそ、定期的な血圧測定や生活習慣の見直しが大切になります。
脳血管疾患
高血圧による合併症の中でも、脳に関わる病気は特に注意が必要です。
血圧が高い状態が続くと、脳の血管にも大きな負担がかかり、動脈硬化が進みやすくなります。
その結果、血管が詰まったり、破れたりして脳血管疾患を引き起こす可能性があります。
代表的な疾患は以下の通りです。
| 代表的な病気 | 病態 | 症状 |
| 脳梗塞 | 血管が詰まり、脳に十分な血液が届かなくなる病気 | 真っ直ぐ歩けない、片目が見えない、顔が歪む、片腕の脱力・しびれ、呂律が回らない、突然の激しい頭痛など |
| 脳出血 | 血管が破れて脳内に出血が起こる状態 | 突然の激しい頭痛、吐き気・嘔吐、手足の麻痺、言語障害など |
| くも膜下出血 | 脳動脈瘤が破裂し、くも膜下腔に血液が急激に流入した状態 | 激しい頭痛や嘔吐、意識障害など |
これらは発症後に麻痺や言語障害などの後遺症が残る場合もあるため、血圧を安定させて予防することが大切です。
心臓疾患
高血圧は心臓にも大きな影響を与えます。
高血圧状態が続くと、心臓は常に強い力で血液を全身に送り出し続けなければなりません。
この負担が長く続くことで、心臓の筋肉が厚くなり、心臓全体が肥大化することがあります。
これを心肥大といい、進行すると心臓の働きが低下していきます。
その結果、狭心症や心筋梗塞、心不全といった心臓の病気につながる可能性があるため注意が必要です。
| 代表的な病気 | 病態 | 症状 |
| 狭心症 | 血管が狭くなることで、心臓に十分な血液が届かなくなる病気 | 胸の痛み、締め付けられるような圧迫感 |
| 心筋梗塞 | 冠動脈が詰まることで、心筋が壊死してしまう病気 | 激しい胸の痛み、締め付けられるような圧迫感、冷や汗、吐き気、動悸、めまい、ショック症状など |
| 心不全 | 心臓のポンプ機能が弱まり、全身の臓器に十分な血液を送れなくなる病気 | むくみや体重の増加、坂道・階段での息切れ、夜間の呼吸困難や咳など |
上記のような病気を防ぐためには、高血圧を放置しないことが大切です。
腎臓疾患
腎臓は血液をろ過し、体に不要な老廃物を尿として排出する役割を担っています。
しかし、血圧が高い状態が続くと、腎臓の中にある細い血管に強い負担がかかり、徐々に機能が低下していってしまうのです。
自覚症状がほとんどないまま進行することも多く、気づいたときには状態が悪化しているケースもあります。
代表的な病気として、腎硬化症や慢性腎臓病、腎不全などが挙げられます。
| 代表的な病気 | 病態 | 症状 |
| 腎硬化症 | 高血圧が原因で動脈硬化が起こり、腎臓の障害をもたらす病気 | 初期症状はほとんどなし進行すると高血圧に伴う頭痛や動悸、肩こりなど |
| 慢性腎臓病 | 何らかの腎障害が3か月以上続く病気 | 立ち眩みや貧血、疲労感、夜間の尿の増加、手足のむくみ、息切れなど |
| 腎不全 | 腎臓の機能が大きく低下し、老廃物が体内に溜まる状態 | 尿の異常、むくみ、倦怠感、息切れ、動悸、貧血、皮膚のかゆみなど |
腎不全になると、体内に老廃物が溜まり、日常生活に大きな支障が出る場合もあります。
最終的には生命維持のために人工透析が必要になることもあるため、早めに対処することが大切です。
血管疾患
高血圧は全身の血管に影響を及ぼし、さまざまな血管疾患の原因になります。
高血圧の状態が続くことで、血管の壁に強い圧力がかかり、動脈硬化が進行しやすくなります。
その結果、血管が狭くなったり、脆くなったりして、重大な血管疾患につながることがあるのです。
代表的な合併症として、以下が挙げられます。
| 代表的な病気 | 病態 | 症状 |
| 閉塞性動脈硬化症 | 手足の血管が狭くなり、血流が悪くなる状態 | 手先・足先の異常な冷え、筋肉痛、皮膚の潰瘍・壊死など |
| 大動脈瘤 | 大動脈の壁が膨らんだ状態 | 無症状が多い発生する場所によって症状が異なる(咳や呼吸困難、嚥下障害など) |
血管疾患は突然重い症状が現れることもあるため、日頃から血圧を安定させ、体の小さな変化に注意することが大切です。
高血圧網膜症
高血圧は目の奥にある網膜にも影響を与えます。
高血圧網膜症は、高血圧の影響で血管に強い負担がかかり、網膜が損傷してしまう病気です。
初期段階では自覚症状がほとんどない場合も多いですが、進行すると視力に影響が出ることがあります。
さらに、網膜が眼球の壁から剥がれてしまう網膜剥離の原因になることもあるため、放置せず早めに対策することが大切です。
高血圧を指摘されたときの対処法

高血圧を指摘された場合は「症状がないから大丈夫」と考えず、早めに対処することが大切です。
具体的な対処法として、以下が挙げられます。
- 医療機関を受診する
- 食習慣を改善する
- 生活習慣を改善する
- 飲酒・喫煙を控える
- 降圧薬を服用する
ここでは上記5つの対処法についてそれぞれ解説します。
医療機関を受診する
健康診断などで高血圧を指摘されたら、まずは医療機関を受診することが大切です。
血圧の測定に加え、問診や検査が行われることがあります。
多くの場合は、生活習慣や食生活の見直しから取り組むことになりますが、状態によっては薬物療法による治療が必要になる場合もあります。
自己判断で放置せず、医師の指示に従って対処しましょう。
食習慣を改善する
食習慣の見直しは、高血圧対策の基本です。
特に意識したいのが、塩分の摂りすぎを防ぐことです。
塩分を多く摂ると体内の水分量が増え、血圧が上がりやすくなります。
厚生労働省による1日の食塩摂取目標は6g未満とされているため、それ以下になるように食事を見直してみましょう。
みそ汁は具を多くして汁を少なめにする、調味料は直接かけず小皿に取るなど、工夫をすることで塩分量を抑えやすくなります。
また、脂身の多い肉や揚げ物を控え、魚や大豆製品、野菜をバランスよく取り入れることも大切です。
少しずつ食事内容を見直すことで、血圧の安定につながる可能性があります。
生活習慣を改善する
高血圧対策では、食事だけでなく日々の生活習慣の見直しも重要です。
睡眠不足や過度なストレスは血圧を上げる要因になるため、十分な休息を取ることを心がけましょう。
短時間の休憩を入れる、就寝前にリラックスする時間を作るなどの小さな習慣も、高血圧対策につながります。
また、軽い運動を習慣にするのも効果的です。
ウォーキングなどの無理のない運動を続けることで、血流が良くなり、血圧が安定しやすくなる効果が期待できます。
激しい運動を行う必要はないため、日常生活の中で体を動かす機会を増やすことから始めてみてください。
飲酒・喫煙を控える
飲酒や喫煙は、血圧に大きく影響するため控えましょう。
喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化の原因となり、高血圧の合併症リスクを高めます。
そのため、高血圧を指摘された場合は、禁煙を目指すことが望ましいでしょう。
飲酒も、量が多くなると血圧が上がりやすくなります。
完全禁酒が難しい場合でも、量を減らしたり、休肝日を設けたりすることで体への負担を軽くできます。
無理のない範囲で禁煙・節酒を心がけましょう。
降圧薬を服用する
生活習慣の改善だけでは血圧が十分に下がらない場合、医師の判断で降圧薬が処方されることがあります。
降圧薬は、血圧を安定させ、血管や臓器への負担を減らす目的で使用されるものです。
降圧薬を使用すると一時的に血圧が下がるため、安心してしまう場合がありますが、急にやめると血圧が再び上がる可能性があります。
継続して服用することが前提となるため、自己判断で服用を中止しないようにしましょう。
生活習慣の見直しと治療を組み合わせることで、血圧がより安定しやすくなります。
まとめ
高血圧は初期の段階では自覚症状がほとんどなく、知らないうちに進行することが多い病気です。
しかし、血圧が高い状態が続くと、頭痛やめまいなどの不調が現れたり、脳や心臓、腎臓、目などに合併症が起こる可能性があります。
症状が軽くても放置せず、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。
新宿トミヒサクロスクリニックでは、各種健康診断や人間ドック、日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医による内視鏡検査を行っています。
高血圧の人は全身のさまざまな病気のリスクが高まるため、定期的に検査を受けることが大切です。
高血圧にお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。




