肝硬変の発症年齢は?10代・20代でも発症リスクのある病気
肝硬変は高齢の人に多い病気というイメージを持たれがちですが、実際には年齢に関係なく発症する可能性がある病気です。
40代・50代の働き盛り世代や、さらに若い10代や20代でもリスクがまったくないわけではありません。
この記事では、肝硬変の発症年齢について詳しく解説します。
肝硬変の分類・症状・原因に加え、検査方法や治療方法もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
肝硬変は若い年齢でも起こり得る病気

肝硬変は高齢になってから発症する病気という印象を持たれがちですが、実際には若い年齢でも起こる可能性があります。
肝硬変は、肝臓が長期間にわたってダメージを受けることで、肝機能が低下する病気です。
そのため発症までに時間がかかることが多いものの、原因となる病気や生活習慣によっては、比較的若い年齢でも進行する場合があります。
年齢だけで安心せず、肝機能の異常を指摘されたときは早めに対応することが大切です。
ここでは、肝硬変を発症しやすい年齢について解説します。
40代・50代に多く見られる
肝硬変は、40代から50代にかけて診断される方が多い病気です。
この年代は、長年にわたる飲酒習慣や脂肪肝、ウイルス性肝炎などの影響が現れやすくなる時期とされています。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま病気が進行することがあります。
そのため、気づいたときにはすでに肝硬変に近い状態になっているケースも少なくありません。
特に健康診断で肝機能異常を指摘されながら、忙しさを理由に受診を先延ばしにしていると、病気の発見が遅れる可能性があります。
40代・50代は体調の変化を見逃さず、定期的に検査や精密検査を受けることが大切です。
10代・20代の若年層でも発症のリスクはある
肝硬変は中高年に多い病気ですが、10代・20代でも発症のリスクがまったくないわけではありません。
ウイルス性肝炎や自己免疫の病気、先天的な代謝異常などがある場合、若い時期から肝臓に負担がかかり続けることがあります。
例えば、肝硬変に進行することもある「原発性硬化性胆管炎」では、20歳代と60歳代の2つの年代で発症のピークが見られます。
また、近年は肥満や脂質異常を原因とした脂肪肝が若年層でも増加傾向にあります。
さらに、過度な飲酒習慣があると、短期間でも肝臓へのダメージが蓄積することがあるのです。
若年層であっても、肝機能に異常があれば早めに医療機関を受診することが大切です。
肝硬変と診断された場合の平均余命
肝硬変と診断された場合の余命や予後は、肝硬変の進行度や合併症の有無によって大きく異なります。
症状がほとんどない『代償性肝硬変』の段階では、適切な治療や生活習慣の改善を続けることで、病状の進行を遅らせたり、一部は改善する見込みがあります。
一方で、腹水や黄疸などがみられる『非代償性肝硬変』では、体への負担が大きくなり、予後に影響を与える可能性が高いです。
非代償性肝硬変の余命については、5年生存率は37.9%、10年生存率は24.0%というデータがあります。
(参考:肝硬変の予後-肝表面像による検討-)
ただし、近年は原因に応じた治療や合併症への対応が進歩しているため、適切な対応を行うことで症状を改善できるケースもあります。
寿命を延ばすためには、主治医と相談しながら、継続的な治療を行うことが大切です。
肝硬変の主な原因・リスクを高める要因

肝硬変は一つの原因によって起こるわけでなく、いくつかの病気や生活習慣が関係している場合が多いです。
主な原因として、以下が挙げられます。
| B型肝炎ウイルス(HBV)感染 | B型肝炎ウイルスに感染し、肝臓が慢性的にダメージを受け続けると、肝硬変へと進行することがある。母子感染や予防接種時の注射器の使いまわしなどで発症するケースが多い。 |
| C型肝炎ウイルス(HCV)感染 | C型肝炎ウイルスに感染し、数年〜数十年かけて肝硬変に進行する。輸血や血液製剤などから感染するケースが多い。 |
| アルコール性肝硬変 | 長期間にわたって大量の飲酒を続けることで、肝臓に強い負担がかかり、炎症や脂肪肝を経て肝硬変に進む |
| 非アルコール性肝硬変 | 肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病との関連性が高い肝硬変。飲酒の習慣がなくても発症するもので、生活習慣の見直しが治療の中心となる。 |
| 自己免疫性肝硬変 | 免疫システムに異常が起こり、自分の肝臓を攻撃してしまうことで起こる肝硬変。『自己免疫性肝炎』『原発性胆汁性肝硬変』『原発性硬化性胆管炎』などの種類がある。 |
肥満や生活習慣の乱れなどが関連して起こる脂肪肝も、放置すると肝硬変に進行することがあります。
特に以下のような人は、年齢にかかわらず脂肪肝のリスクが高まるため注意が必要です。
- 肥満(BMI25以上)の人
- 糖質や脂っこいものが好きな人
- 週に1回以上運動する習慣のない人
- 無理なダイエットによるリバウンドを繰り返している人
- お酒に酔いやすい人
- 飲酒量が多い人
肝硬変を防ぐためには、原因となる病気や生活習慣を見つけ、適切に対処することが大切です。
肝硬変は代償性と非代償性に分類される

肝硬変は進行度合いによって『代償性肝硬変』と『非代償性肝硬変』の2つに分けられます。
ここではこの2つの違いについて解説します。
代償性肝硬変
代償性肝硬変は、肝臓にダメージが起きているものの、残っている肝細胞によって肝機能が保たれている状態です。
この段階では自覚症状がほとんど出ないことが多く、普段通りの生活を送れている人も少なくありません。
そのため、本人が病気に気づかず、健康診断や血液検査で初めて肝機能の異常を指摘されるケースもあります。
ただし、症状がないからといって安心できる状態ではありません。
肝臓の中では線維化が進んでおり、原因となる病気や生活習慣を放置すると、非代償性へ進行する可能性があります。
症状の悪化を防ぐためには、代償性の段階で原因に応じた治療や生活習慣の見直しを行うことが大切です。
非代償性肝硬変
非代償性肝硬変は、肝硬変がさらに進み、残っている肝細胞だけでは肝臓の働きを支えきれなくなった状態です。
この段階になると、黄疸や腹水、食欲不振・体重減少、出血傾向など、はっきりとした症状が現れやすくなります。
日常生活にも影響が出ることが多く、体調管理が難しくなる点が特徴です。
また、肝不全や肝臓がんなどの合併症が起こるリスクも高まります。
そのため、医療機関での継続的な治療が欠かせません。
非代償性肝硬変であっても、適切な治療や原因への対処を行うことで、症状を和らげられます。
早めに医師と相談し、無理のない治療を続けることが大切です。
肝硬変の主な症状

肝硬変は初期段階では自覚症状がほとんどない場合が多いですが、病気が進行するにつれてさまざまな症状が現れます。
非代償性肝硬変まで進行すると、以下のような症状がみられる場合があります。
| 黄疸 | 血液中の『ビリルビン』という黄色い色素が増え、皮膚や白目が黄色くなる |
| 腹水 | 肝機能の低下によってお腹の中に水分が溜まり、お腹の張りや重さを感じたり、息苦しさや食欲不振につながることがある |
| 食欲不振・体重減少 | 肝臓の機能低下によって栄養素の吸収や代謝がうまく行われなくなり、食欲不振や体重減少につながることがある |
| 手掌紅斑 | 手のひらの親指の付け根や小指の付け根に赤い斑点が現れる |
| 女性化乳房 | 肝機能低下によってエストロゲンの分解が十分に行われなくなり、男性の乳房や乳首が大きくなる |
| クモ状血管腫 | 毛細血管が拡張し、クモの形のように放射状に赤く盛り上がる |
| 羽ばたき振戦 | 自分の意思とは関係なく手や指が小刻みに震える症状。体内にアンモニアなどの有害物質が溜まり、それが脳に影響を及ぼすことで起こる |
| 出血傾向 | 肝機能の低下によって血が出やすくなったり、止まりにくくなったりする |
肝硬変の予防方法

肝硬変を予防するためには、食事や飲酒習慣などの日常生活を見直すことが大切です。
具体的な予防方法は以下の通りです。
| 栄養バランスの整った食事を摂る | タンパク質・炭水化物・脂質のバランスの整った食事を摂る。主食・副菜・主菜のそろった食事を規則正しく摂ることも大切。 |
| 飲酒を控える | なるべく飲酒を控え、完全禁酒できない場合でも日本酒なら約1合、焼酎なら100ml程度に抑える。休肝日も作り、肝臓を休ませる時間を確保。 |
| 適度に運動する | 軽く汗ばむ程度の有酸素運動を30分程度取り入れる。肥満予防や筋肉の衰えの予防、ストレス発散にも役立つ。 |
| ストレスをため込まない | ストレスは生活の乱れの原因になるため、趣味に没頭する、お風呂にゆっくり浸かるなど、リフレッシュできる時間を作る。 |
| 十分な睡眠時間を確保する | 睡眠不足は肝臓だけでなく、体全体に悪影響を及ぼす。睡眠時間は7時間程度を目安に確保する。 |
| 便秘を予防する | 便秘になると血中のアンモニアが増加し、肝臓に悪影響を及ぼす恐れがある。食物繊維を積極的に摂り、毎日の排便を心がける。 |
| 定期検診を受診する | 症状がなくても定期検診を受ける。定期的に検査を受けることで、いち早く肝臓の異常に気付ける。 |
上記を意識して生活することで、肝臓への負担を抑えられます。
特に大切なのは、定期検診を受診することです。
肝硬変は初期の段階では自覚症状が出ないことも珍しくないため、自分は健康だと思っていても、定期的に健康診断を受けましょう。
万が一肝臓に異常が出てしまっても、定期検診により早期発見できれば、肝硬変になるリスクを下げることができます。
肝硬変の早期発見・診断方法

肝硬変は自覚症状の乏しい病気のため、症状が進行する前に早期発見することが大切です。
早期発見するには、定期的に健康診断を受け、異常があればすぐに専門医による検査を受けましょう。
早い段階で肝硬変の兆候が見つかれば、重い症状が出る前に進行を抑えられる可能性があります。
肝硬変の主な診断・検査方法は以下の通りです。
| 問診 | 自覚症状の有無、飲酒習慣、肝炎ウイルスに感染する可能性があったかなどを確認する |
| 身体所見 | 黄疸、腹水、クモ状血管腫などの有無を視診・触診で確認する検査 |
| 血液検査 | 肝臓のダメージや機能低下の程度を確認する検査 |
| 超音波検査 | 肝臓の大きさや形、表面の凹凸、腹水の有無を確認する検査 |
| CT・MRI検査 | 肝臓の形状変化や血流、腫瘍の有無などを確認する検査 |
| 腹腔鏡検査・肝生検 | 肝臓を直接観察し、組織を採取して詳しく調べる検査 |
これらの検査方法はどれか一つではなく、複数の検査を組み合わせて行われる場合が多いです。
肝硬変は原因や進行の程度によって状態が大きく異なるため、複数の検査結果をもとに総合的に判断します。
肝硬変の治療方法

肝硬変の治療は、肝機能の低下を食い止め、現在の状態を維持するのが目標となります。
具体的な治療方法は以下の通りです。
| 分類 | 主な治療内容 |
| 代償性肝硬変 | 原因疾患の治療、禁酒、食事・栄養管理、適度な運動、薬物療法 |
| 非代償性肝硬変 | 食事・栄養療法、症状に応じた薬物療法、合併症の治療、生活習慣の改善、肝移植の検討 |
代償性肝硬変の段階では、肝臓の機能がある程度保たれているため、原因に対する治療を行いながら、禁酒や食事管理、適度な運動などを継続します。
非代償性肝硬変では腹水や黄疸などの症状が現れるため、食事や薬による対症療法を行いながら、状態の安定を目指します。
内科的な治療だけでは対応が難しい場合には、肝移植が選択肢として検討されることもあるでしょう。
医師と相談しながら、無理のない治療を続けていくことが大切です。
まとめ
肝硬変は、40代・50代に多く見られる病気ではあるものの、若い世代でも起こり得る病気です。
初期の段階では症状がほとんど出ないことも多く、気づかないうちに進行してしまうケースも少なくありません。
年齢に関係なく、健康診断で肝機能の異常を指摘された場合は、そのままにせず医療機関を受診することが大切です。
新宿トミヒサクロスクリニックでは、日本肝臓学会専門医による肝臓内科の診療を行っています。
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