経鼻内視鏡とは?経口内視鏡との違いやメリット、注意点を解説
経鼻内視鏡は、鼻から細いスコープを挿入して、食道から胃、十二指腸の入口までを観察できる検査です。
口から挿入を行う経口内視鏡と比較すると嘔吐反射が起こりにくく、これまで胃カメラでつらい思いをした方も、苦痛を抑えやすくなりました。
しかし、経鼻・経口ともに、メリット・デメリットはどちらにも存在し、それぞれに特徴や適した場面があります。
検査後の影響や体質、不安などによって自分に適している方法は異なります。
この記事では、経鼻内視鏡の仕組みや検査でわかること、胃カメラとの違い、メリット、注意点などについて詳しく解説します。
経鼻内視鏡を受ける前に理解を深め、どちらを選ぶか比較する参考にしてください。
経鼻内視鏡とは?

経鼻内視鏡は、細い内視鏡を鼻から挿入し、食道や胃の内部を観察する検査方法です。
口から行う胃カメラと比較すると、喉への刺激が少なく、検査中の負担を感じにくい点が特徴です。
ここでは、経鼻内視鏡の仕組みや、発見できる主な病気、検査の流れについて解説します。
経鼻内視鏡の仕組み
経鼻内視鏡は、直径約5〜6mmの細いスコープを鼻孔から挿入し、鼻の奥から喉を通して食道・胃・十二指腸の入口付近まで観察する検査です。
先端には小型カメラとライトを備え、内部の状態をモニターに映しながら確認可能です。
先端の角度調整や送気・吸引を行いながら、粘膜の色調や凹凸、出血の有無などを観察し、必要に応じて画像の記録をします。
これらの結果は経過管理や追加検査につながる判断材料として活用されます。
検査はリアルタイムで映像を確認しながら進められ、異常が疑われる部位があれば詳細に観察することができるのも特徴のひとつです。
経鼻内視鏡で発見できる主な病気
経鼻内視鏡では、胃や食道の粘膜を直接観察することで、さまざまな消化管の病気を調べることができます。
| 食道 | 胃 | 十二指腸(入口付近) |
| 逆流性食道炎バレット食道食道がん食道裂孔ヘルニア食道静脈瘤 | 慢性胃炎萎縮性胃炎ヘリコバクター・ピロリ感染性の粘膜変化胃潰瘍・胃びらん胃ポリープ胃がん胃粘膜下腫瘍胃アニサキス症 | 十二指腸潰瘍・びらん十二指腸ポリープ炎症性変化 |
自覚症状がほとんどない段階でも粘膜の異常が見つかることもあり、定期的に検査を受けることにより病気の早期発見につながります。
胸やけや胃もたれ、食欲不振、体重減少などの症状がある場合にも、原因を確認する目的で行われます。
経鼻内視鏡と経口内視鏡の違い

胃カメラ検査には、鼻から挿入する経鼻内視鏡と、口から挿入する経口内視鏡が主な方法です。
どちらも胃や食道を観察する検査ですが、挿入経路や麻酔方法、検査後の過ごし方などに違いがあります。
挿入経路の違い
挿入経路の違いによって、検査中の意思表示の可否や呼吸、嘔吐反応などに違いが生じます。
経鼻内視鏡は、直径約5〜6mmのスコープを鼻孔から挿入し、鼻の奥を通って食道や胃へ進める検査です。
口を塞がないため、検査中に医師の呼びかけに対して簡単な意思表示が可能です。
鼻と口の両方で普段通りに自然に呼吸ができますが、検査中は鼻呼吸を意識すると視野が確保しやすくなるとされています。
また、スコープが舌の付け根(舌根部)に触れにくいため、嘔吐反射が起こることが少ないのも、大きな特徴です。
一方、経口内視鏡は、マウスピースを装着して口から直径約8〜9mmのスコープを挿入する方法です。
経口内視鏡ではマウスピースの装着により、会話によるやり取りは難しいため、あらかじめ手を挙げるなどの合図で意思表示をします。
主に鼻呼吸でゆっくり呼吸をすることで、喉の力が抜けやすくなって、嘔吐反射を抑えることにもつながります。
喉を通過する際に違和感を覚えたり、吐き気をもよおしたりすることもあるため、鎮静剤の併用が検討されることもあります。
検査精度・観察範囲の違い
経口内視鏡の方が鮮明で精度の高い画像を撮ることができて、経鼻内視鏡は画質が十分ではないとのイメージがあるかもしれません。
しかし、近年の内視鏡機器は高性能化が進んでいて、経鼻内視鏡でも粘膜の状態を細かく診断できるケースも増えています。
通常の診断目的であれば、経鼻と経口で大きな差が出ないことも多く、自分の希望でどちらの方法かを選べる可能性もあります。
ただし、細かい粘膜変化の確認、組織の一部を採取する検査、処置を伴う場合は、経口内視鏡の方が適していることもあるため、医師と相談してみましょう。
スコープの太さが器具の使いやすさに関係するため、検査目的によって自分に合った選択をすることが重要です。
麻酔方法の違い
経鼻内視鏡では、主に鼻孔に局所麻酔を行い、痛みや違和感を和らげたうえで検査を行います。
鎮静剤を使用しないケースも多く、意識がはっきりした状態で検査を受けるのが一般的です。
経口内視鏡では、喉の局所麻酔に加えて、必要に応じて鎮静剤を併用することがあります。
眠ったような状態で検査を受けられる反面、検査後にしばらく安静が必要です。
どの麻酔方法が適しているかは、体調や持病、検査後の予定なども考慮して判断されます。
検査時間・回復の違い
検査そのものにかかる時間は、経鼻内視鏡・経口内視鏡どちらでも、観察範囲にもよりますが、検査時間には大きな差はありません。
| 経鼻内視鏡 | 経口内視鏡 | |
| 検査時間 | 約5~10分 | |
| 検査後の安静時間 | 体調確認で問題なければ帰宅できる | 約30~60分(鎮静剤使用時) |
| 飲食再開 | 約30~60分後 | 医師の指示により当日の制限がある |
| 注意事項 | 体調に問題なければ当日中に運転や仕事も可能 | 当日中は運転や仕事を控える(鎮静剤使用時) |
経口内視鏡では、鎮静剤の影響で眠気やふらつきが残ることがあるため、当日の車・自転車の運転を控えることが推奨されます。
鎮静剤を使用した場合は、運転だけでなく安静時間や当日の飲食などの制限があり、検査後の予定や移動手段が限られている方にはデメリットといえます。
経鼻内視鏡と経口内視鏡のメリット・デメリット

両者ともメリット・デメリットがあり、どちらの方法が適しているかは、体質や検査の目的、過去の検査体験などにより異なります。
| 経鼻内視鏡 | 経口内視鏡 |
| 【メリット】 嘔吐反射が出にくい 鎮静剤を使わなくても受けやすい 検査後の回復が早い口を塞がず検査中に意思表示ができる 呼吸が楽にできて苦痛が軽減される 定期検査の継続がしやすい |
【メリット】 スコープが太めで操作性が高い 生検や処置を行いやすい 精密な観察や追加の処置に対応できる 鼻の構造に左右されず検査できる 鼻炎・鼻づまりなどの影響を受けにくい 鎮静剤の併用でつらさを軽減できる |
| 【デメリット】 鼻孔の状態により入らないことがある 鼻粘膜の刺激で痛み・違和感・鼻出血が起こる可能性がある 生検や処置が制限される 鼻炎や副鼻腔炎などで時期的に検査できないことがある |
【デメリット】 嘔吐反射が出やすい 鎮静剤を使用すると回復時間が必要(当日の制限がある) マウスピースの着用により検査中の会話は難しい 鼻呼吸が苦しく感じる |
メリット・デメリットの両面を理解し、自分にとって適した方法を医師とよく相談しながら選択しましょう。
経鼻内視鏡に向いている方

経鼻内視鏡は、検査時の負担をできるだけ抑えたい方に選ばれることが多い方法です。
体質や生活スタイルによって、経口内視鏡より適しているケースもあるため、事前に向いている条件を知っておきましょう。
嘔吐反射が強い
喉に物が触れると強くえずいてしまう方は、経口内視鏡に苦手意識をもっていることも少なくありません。
経鼻内視鏡は、スコープが舌の付け根に直接触れにくいため、嘔吐反射が起こりにくい傾向があります。
過去に胃カメラ検査でつらい経験をした方や、緊張が強くなりやすい方にとっては、検査への心理的ハードルを下げられる可能性があります。
ただし、鼻の状態や個人差によって感じ方は異なるため、事前に相談することが大切です。
鎮静剤を避けたい
検査の際、鎮静剤を避けたい方にとっては、経鼻内視鏡を選択するメリットを感じることもあります。
鎮静剤を使用すると、眠ったような状態で検査を受けられて痛みや違和感を感じにくく、負担が軽くなるのが特徴のひとつです。
しかし、検査後に長めの休憩時間が必要だったり、当日の運転が制限されたりする場合があります。
また、持病や服薬の関係で、鎮静剤の使用を控えたい方もいるでしょう。
経鼻内視鏡は、鼻の局所麻酔のみで検査を行うことが多いため、意識がはっきりした状態で検査を受けられます。
薬剤による影響をできるだけ避けたい方にとっては、有効な選択肢です。
検査後すぐ活動したい
仕事の合間に検査を受けたい方や、検査後に予定がある方にとっては、回復までの時間は重要なポイントです。
鎮静剤を使用しない経鼻内視鏡では、検査後の休憩時間が比較的短く、体調に問題がなければ当日中に通常の活動へ戻れることが多いです。
車の運転や外出予定がある場合でも調整しやすく、時間的な制約を受けにくい点は、生活リズムを崩したくない方にとってメリットとなります。
定期検査の負担を少なく続けたい
胃や食道の病気は、早期発見のために定期的な内視鏡検査が勧められることがあります。
検査のたびに強い苦痛や長時間の休養が必要になると、継続が負担になってくる方もいるでしょう。
経鼻内視鏡は、比較的心身の負担を感じにくい検査のため、継続しやすい方法といえます。
無理なく検査を続けられる環境を整えることで、長期的な健康管理にもつながります。
経鼻内視鏡の注意点

経鼻内視鏡は、負担を軽減しやすい検査方法ですが、すべての方に適しているわけではありません。
鼻の状態や検査目的によっては、制限が生じることもあります。
経鼻内視鏡が適さない・慎重に判断されるケース
経鼻内視鏡は、細いスコープを鼻孔から挿入するため、以下のような方は慎重に対応する必要があります。
- 鼻孔・鼻腔が狭くスコープが通過しにくい
- 鼻腔構造に制限がある(鼻中隔湾曲症・鼻ポリープなど)
- 鼻出血を起こしやすい
- 抗血栓薬(抗凝固薬・抗血小板薬など)を服用している
- 炎症・治療途中(急性鼻炎・鼻の手術直後など)
これらのケースの場合、挿入が難しかったり、無理に挿入すると痛みや出血のリスクが高まったりする可能性があります。
重度の鼻炎や副鼻腔炎がある方や、ショック状態の方など、鼻からの挿入が危険なケースは禁忌とされることもあります。
状況によっては経口内視鏡に切り替える判断がされることもあるため、上記以外にも不安なことがある方は事前に申告しておきましょう。
一時的なトラブル・リスクの可能性
経鼻内視鏡では、鼻粘膜への刺激によって、一時的な鼻出血や痛み、違和感が生じることがあります。
多くは短時間で自然に治まりますが、出血が続く場合や強い痛みが残る場合には、医療機関での処置が必要なこともあります。
このような症状が長期間残るケースは多くありませんが、粘膜が弱い方や出血しやすい体質の方は、注意が必要です。
リスクについて事前に説明を受けて、理解したうえで検査を受けることが大切です。
精密検査や処置が必要な場合に限界がある
経鼻内視鏡はスコープが細いため、処置用の器具が使用しにくい場合があります。
組織を採取する検査や、出血部位の止血など、細かな操作が必要な場合には、経口内視鏡の方が適していることがあります。
あらかじめ精密検査や処置が想定される場合には、最初から経口内視鏡を選択した方が効率的かもしれません。
経鼻内視鏡の検査の流れ

経鼻内視鏡の検査は、クリニックにより違いはありますが、おおむね以下のような流れで行われます。
- 本人確認や問診
- 検査内容の説明
- 消泡剤を飲む(胃の中をきれいにするため)
- 鼻腔へ局所血管収縮剤のスプレー
- 鼻孔の局所麻酔
- 検査(約5~10分)
- 検査終了後は安静や体調確認
麻酔が効いたことを確認したうえで、スコープを鼻孔から挿入して、咽頭を通過させながら観察を開始します。
内視鏡は食道から胃へと進められ、必要な部位を順番に確認していく流れです。
検査終了後は、医師の指示に従って安静や体調確認などが行われ、問題がなければ帰宅できます。
経鼻内視鏡検査を受ける前に知っておきたいポイント

経鼻内視鏡を受けるためには、事前準備や当日の流れのほか、検査中の感覚や受診先の選び方などを事前に把握しておくことが大切です。
ここでは、検査前に知っておきたいポイントについて解説します。
検査前の準備
検査は胃の中を空にした状態で行う必要があるため、前日の夜から食事制限があるのが一般的です。
水分摂取の可否や当日の服薬については、持病や薬の種類によって対応が異なります。
特に、糖尿病治療薬や抗凝固薬、インスリンなどを使用している場合は、自己判断せず医師の指示に従ってください。
検査前の準備に関して不安な点があれば、事前に確認しておくとよいでしょう。
検査中の感覚を理解しておく
検査中にどのような感覚になるのか、心配な方も少なくありません。
経鼻内視鏡では鼻孔へ局所麻酔を行うため、鼻や喉にしびれ感や違和感を覚えることがあります。
麻酔が効いている間は、飲み込みにくさを感じる場合もありますが、多くは時間とともに軽減されます。
検査中は、鼻からスコープが挿入される感覚や、空気を送る際の張り感が気になるかもしれません。
苦しさや違和感が強い場合は、我慢せずに医師に伝えましょう。
検査終了後の制限
検査後は、麻酔が完全に切れるまで、飲食を控える必要があります。
しびれが残った状態で飲食をすると、誤飲や粘膜損傷のリスクが高まるため、医師の指示に従ってください。
検査当日は鼻粘膜が刺激を受けている状態のため、以下の行為は控えることが推奨されています。
- 鼻を強くかむ
- 頻繁に鼻を触る
- 激しい運動
- 長時間の入浴
- サウナ
- 飲酒
- 喫煙
物理的に鼻に刺激を与えないことはもちろん、急激に血流をよくする行為は出血を助長する可能性があるため避けましょう。
また、タバコの煙は鼻や喉の粘膜を刺激し、炎症や違和感を長引かせる原因になることもあります。
当日受けられないケースとは
経鼻内視鏡検査の当日の状況によっては、安全性や検査精度の観点から実施を見送る判断がされることがあるため、注意が必要です。
事前に問題がなくても、当日の診察で麻酔による粘膜の腫れや乾燥、炎症などで鼻孔の通過性が十分でないとされると、経鼻での実施が難しくなります。
胃の中に粘膜や泡が多く残っている、空気の調整がうまくいかず観察が安定しない状態のときは、有効な情報が得られない可能性があります。
また、強い不安や過度な緊張により呼吸や姿勢の調整が難しい場合は、安全な検査が困難です。
これらのケースでは、経口内視鏡への変更をしたり、後日改めて検査環境を整えて再実施する対応が取られることがあります。
クリニックの選び方
経鼻内視鏡は、検査を受けるクリニックによって、快適さや得られる情報に差が出ることがあります。
クリニック選びの際には、以下のようなことを確認しておきましょう。
- 経鼻内視鏡に対応した機器を常設しているか
- 経鼻内視鏡の検査実績が十分にあるか
- 検査前後の説明が丁寧に行われているか
- 経鼻が難しい場合の代替対応が整っているか
- 感染対策・衛生管理の体制が整っているか
このような点を見ながら総合的に判断して、自分に合ったクリニックを選びましょう。
まとめ
経鼻内視鏡は、鼻から細いスコープを挿入して食道や胃の内部を観察する方法で、検査時の負担をできるだけ抑えたい方にとっての選択肢のひとつです。
経口内視鏡と比較すると、挿入経路や麻酔方法、検査後の回復、処置のしやすさなどの違いがあります。
検査の目的や体質、体調、生活状況などを考慮して、どちらが適しているかを慎重に検討しましょう。
新宿トミヒサクロスクリニックは、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医である院長による、できるだけ優しい検査を心がけております。
経鼻・経口のどちらを希望するか、鎮静剤の使用なども、丁寧な説明と相談のうえで、ご自身の希望で選択できます。
経鼻内視鏡検査を検討している方、精密検査をご希望の方は、ぜひ新宿トミヒサクロスクリニックへご相談ください。




