アレルギー性鼻炎で経鼻内視鏡はできる?検査可能なケースと難しいケース
アレルギー性鼻炎や花粉症があると、経鼻内視鏡が受けられるのかと不安を感じる方は少なくありません。
経鼻内視鏡は、胃カメラ検査で起こりがちな嘔吐反射を抑えられる方法ですが、鼻の状態によっては注意しなければならない場面も存在します。
アレルギー性鼻炎があっても問題なく検査を受けられるケースもある一方で、症状の強さや時期によっては慎重な判断が必要です。
この記事では、アレルギー性鼻炎や花粉症が検査に与える影響や検査が可能・難しいケースを詳しく解説します。
経鼻内視鏡はどんな検査?

経鼻内視鏡は、鼻の穴から内視鏡スコープを挿入し、食道や胃の内部を観察する検査方法です。
口から挿入する経口内視鏡と比較すると、嘔吐反射などによる苦痛が軽減できる傾向にあります。
ここでは、経鼻内視鏡の特徴やメリット・デメリットについて解説します。
経鼻内視鏡の特徴
経鼻内視鏡では、スコープを鼻孔から挿入し、咽頭、食道、胃へと進めて、十二指腸の入口までの観察を行えます。
鼻の中を通過させる構造上、使用されるスコープは約5〜6mmと細く、鼻腔のカーブに沿って操作できる設計です。
嘔吐反射を引き起こす舌根部(舌の付け根)に触れにくいのも、負担を軽減したいと考える方に選ばれる理由です。
また、検査前に鼻腔内に局所麻酔をすることで、刺激を抑えた状態で検査を受けられます。
経鼻内視鏡は鎮静剤なしでも検査が受けやすく、検査中も意識が保たれ医師とのやり取りができる点や、検査後の回復が比較的早いことも特徴です。
ただし、鼻腔の構造や粘膜の膨張が強い場合には、スコープの通過が困難になり、経鼻内視鏡での検査が難しいこともあります。
経口内視鏡とどう違う?
経口内視鏡は、マウスピースを装着して、口からスコープを挿入して行う検査方法です。
スコープは約8〜9mmと経鼻内視鏡と比べると太く、処置用の器具を通しやすい構造になっています。
そのため、組織採取や止血などの処置を同時に行う可能性がある場合には、経口内視鏡が適している場合があります。
経口内視鏡は口から挿入するため、スコープが舌の付け根に触れて「オエッ」となる嘔吐反射が不安という方は少なくありません。
しかし、近年では鎮静剤を使用することで、経口内視鏡も苦痛を抑えて受けやすくなってきています。
経鼻内視鏡での検査が難しい場合は経口内視鏡を勧められることもありますが、その際は鎮静剤を使用すると、苦痛を軽減しながら検査が受けられるでしょう。
経鼻内視鏡のメリット
鼻からスコープを通す経鼻内視鏡のメリットは、以下の通りです。
- 検査中の呼吸がしやすい
- 嘔吐反射が出にくい
- 鎮静剤を使用しないケースがい
- 検査中の意思疎通が可能
- 検査後の安静時間が少ない
- 検査当日の行動制限が少ない
鎮静剤を使用すると、検査後の安静時間が約30〜60分ほど必要です。
眠気やふらつきが残る場合もあるため、食事の制限や当日は車の運転は避けることが推奨されます。
一方、経鼻内視鏡は局所麻酔のみでも受けられることが多く、体調に問題がなければすぐに帰宅できます。
麻酔が切れるまでの食事制限はありますが、鎮静剤を使用しないため当日の運転も可能で、行動制限が比較的少ない方法です。
経鼻内視鏡のデメリット
経鼻内視鏡は鼻腔を通過させる検査のため、鼻の状態によっては受けられないことがあります。
主なデメリットとして挙げられるのは、以下のようなものです。
- 鼻孔が狭い・鼻中隔湾曲などで挿入が困難なケースがある
- 鼻粘膜の状態で検査の可否が左右される
- 刺激により鼻出血が起こる可能性がある
- 検査中に行える処置が限られる場合がある
- 症状や状態により、当日経口内視鏡へ切り替えるケースがある
重篤な合併症が起こることはまれですが、鼻出血や痛み、違和感が一時的に発生する可能性があります。
また、スコープが細いため、生検や処置に限りがあります。
近年は画像の鮮明度は改善されてきていますが、精密な検査や処置が必要な場合は、経口内視鏡の方が適しているケースがあると理解しておきましょう。
なぜアレルギー性鼻炎があると経鼻内視鏡に影響するのか?

経鼻内視鏡は、鼻孔から挿入して行う検査であるため、鼻の中の状態が検査の可否や進め方に影響します。
アレルギー性鼻炎や花粉症がある場合、鼻粘膜に慢性的または一時的な炎症が起こりやすく、検査に影響することがあります。
アレルギー性鼻炎・花粉症とは
アレルギー性鼻炎は、花粉やダニ、ハウスダストなどのアレルゲンが鼻粘膜に触れることで免疫反応が起こります。
くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が代表的です。
花粉症はアレルギー性鼻炎の一種で、アレルゲンにより個人差がありますが、特定の季節に症状が強く現れる点が特徴です。
鼻粘膜ではアレルゲンに反応して、血管の拡張や粘膜の腫れが起こります。
この状態が続くと、鼻腔が狭くなり、分泌物も増えてきます。
鼻粘膜の膨張でスコープが通りにくくなる
アレルギー性鼻炎の症状があると、鼻粘膜が慢性的に腫れた状態になります。
鼻腔はもともと狭い空間で、わずかな膨張でもスコープが通過できるスペースが制限されます。
そのため、経鼻内視鏡で使用する細いスコープであっても、物理的に通りにくくなるのです。
花粉症の症状が強く出ている時期や、鼻づまりがある状態では、挿入時に抵抗が生じやすくなります。
無理に進めると痛みや出血につながる可能性があるため、医師の判断により経口内視鏡での検査に変更することもあります。
刺激に対する痛みや違和感が出やすい
アレルギー性鼻炎では、鼻粘膜が刺激に対して敏感な状態です。
通常であれば問題なく感じられる接触でも、痛みや違和感を覚えることが多いです。
経鼻内視鏡では、スコープが鼻粘膜に触れながら進むため、検査中の苦痛につながることがあります。
また、炎症がある状態では、局所麻酔の効き方に個人差が出るケースもあり、違和感を覚える方もいます。
鼻出血のリスクがある
鼻腔内は血管が豊富な部位であり、炎症が起きていると血管が拡張して、少しの刺激でも出血しやすい状態です。
アレルギー性鼻炎や花粉症があると、日常生活でも鼻をかんだ際に血が混じることもあるでしょう。
出血自体は軽度で自然に止まることが多いものの、検査の継続が難しくなる場合があります。
そのため、過去に鼻出血を繰り返している場合や、症状が強い時期などは、経鼻内視鏡を避けた方がよいこともあります。
アレルギー性鼻炎で経鼻内視鏡が可能なケース

アレルギー性鼻炎がある場合でも、経鼻内視鏡を受けられるケースがあります。
鼻炎の診断があるかどうかではなく、検査時点での鼻の状態が検査に適しているかどうかが重要です。
症状が軽度で安定している
アレルギー性鼻炎があっても、症状が軽度で日常生活に大きな支障がない場合には、経鼻内視鏡が実施できることがあります。
例えば、鼻水やくしゃみが時々出る程度で、強い鼻づまりがなく、普段から鼻呼吸が保たれている状態などです。
鼻粘膜の膨張が少なく、スコープの通過に必要なスペースがあることも条件のひとつです。
検査前の診察で鼻腔の状態を確認したうえで、問題がなければ経鼻での検査が選択できます。
また、症状が軽度で安定していると、検査中の違和感や痛みも出にくく、呼吸もしやすい傾向があります。
治療により症状がコントロールされている
アレルギー性鼻炎の治療を継続していて、症状が適切にコントロールされている場合も、経鼻内視鏡が可能と判断されることがあります。
抗ヒスタミン薬や点鼻薬などの使用によって、鼻づまりや粘膜の腫れが抑えられている状態ならば、検査時の影響が出にくいとされています。
ただし、経鼻内視鏡が受けられるのは、検査当日に鼻腔の状態を確認し、医師が検査可能と判断した場合です。
事前の診断では問題なくても、当日の状態で検査の可否が検討されるため、医師の指示に従いましょう。
検査時期を調整することで対応できる場合
アレルギー性鼻炎のなかでも、特に花粉症の場合は、症状が強く出る時期と比較的落ち着く時期があるのが一般的です。
症状が強い時期を避けて検査日を調整することで、経鼻内視鏡が可能になるケースも少なくありません。
例えば、アレルゲンがスギの場合は、花粉飛散のピークを過ぎた時期を外すことで、検査を受けられる可能性があります。
通年の鼻炎であっても、体調や環境によって症状の波があるため、比較的落ち着いている時期を選ぶこともできます。
健康診断や定期検査の場合は、クリニックに相談して鼻の症状が強い時期を避けることを検討してみましょう。
ただし、自覚症状(不快感・吐き気・痛み・食欲不振など)がある場合は、時期をずらすことで病気の発見が遅れるかもしれません。
経口内視鏡で検査を行う方がよいと判断された際は、早期発見につなげるためにも、医師の指示に従いましょう。
アレルギー性鼻炎で経鼻内視鏡が難しいケース

アレルギー性鼻炎がある場合、症状の程度や鼻腔内の状態によっては、経鼻での検査が難しいと判断されることがあります。
ここでは、無理に経鼻内視鏡を行うとトラブルにつながる恐れがあるケースについて解説します。
鼻づまりが強く呼吸がしづらい
鼻づまりが強い状態では、経鼻内視鏡の挿入そのものが困難です。
アレルギー反応による粘膜の膨張が加わると、もともとの構造がさらに狭くなり、スコープを通すための空間が確保できなくなります。
このような状態でスコープを進めると、強い圧迫感や痛みが生じる可能性があるため、注意が必要です。
また、鼻腔内の抵抗が大きいまま操作を行うと、粘膜損傷や出血につながるケースもあります。
粘膜膨張・鼻水が止まらない
アレルギー性鼻炎の症状が強い時期には、鼻粘膜の膨張だけでなく、分泌物も多くなります。
粘膜が腫れているとスコープの操作スペースが狭くなり、安定した挿入が困難です。
鼻水が止まらないほど分泌物が多いと、視野が確保しにくいことや、スコープが粘膜に接触して刺激になりやすく、痛みや違和感にもつながります。
急性鼻炎・副鼻腔炎を併発している
急性鼻炎や副鼻腔炎を併発している場合、鼻腔内の炎症が強く、経鼻内視鏡が適さないと判断されることがあります。
これらの疾患では粘膜の膨張や分泌物の増加が顕著になることが多く、検査時の刺激によって症状が悪化する可能性も考えられます。
このような場合、症状が落ち着くまで検査を延期したり、経口内視鏡へ切り替えたりする判断をするのが一般的です。
アレルギー性鼻炎以外で経鼻内視鏡が難しいケース

ここでは、鼻炎以外の理由で経鼻内視鏡での検査が困難なケースを解説します。
鼻の構造的な問題
鼻の内部構造には個人差があり、スコープの通過が難しい場合は経鼻内視鏡の実施が難しいことがあります。
例えば、鼻孔が狭い、鼻中隔が大きく湾曲しているケースです。
構造的に難しい場合、粘膜の状態に問題がなくても、スコープを通すスペースが確保できません。
また、過去に鼻の手術や外傷を経験している方では、内部構造が変化している可能性があるため、事前に確認が必要です。
出血リスクが高い
鼻腔内は血管が豊富な部位のため、経鼻内視鏡では出血リスクを考慮しなければなりません。
鼻出血をしやすい方や、日常的に鼻血が出る体質の場合、出血が起こる可能性があります。
また、抗凝固薬や抗血小板薬を服用している場合は、出血が起こった際に止血が困難になるリスクが高まります。
出血のリスクは外見から判断が難しいため、服薬状況や既往歴を事前に医師と共有しておくことが重要です。
全身疾患や体調面で慎重判断が必要
経鼻内視鏡は局所的な検査ですが、全身状態が検査の進行に影響することがあります。
例えば、重い心疾患や呼吸器疾患がある場合、検査中の体調変化や血圧の推移などに配慮が必要です。
また、強い不安やパニック症状がある場合、検査の安全性が保たれない可能性も考えられます。
全身管理が必要な疾患や体質がある方は、医師と十分に相談のうえ、慎重に検査計画を立てることが大切です。
まとめ
アレルギー性鼻炎や花粉症の方でも、症状や鼻の状態によっては、経鼻内視鏡での検査ができることもあります。
ただし、鼻が狭くなっていたり、痛みがある場合は、経口内視鏡での検査を行った方がいいこともあり、症状が安定しているか、スムーズに検査ができるかを重視し、経鼻か経口かを検討することが大切です。
医師と情報を共有してよく相談しながら、自分の状態に合った方法を選択しましょう。
新宿トミヒサクロスクリニックは、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医である院長のもと、健康診断や人間ドックを含む内視鏡検査を行っております。
検査前に経鼻・経口それぞれの内視鏡の特徴を丁寧に説明し、患者様のご希望にできるだけ沿えるように適切な方法をご提案いたします。
アレルギー性鼻炎があり、経鼻内視鏡ができるか心配な方は、ぜひ新宿トミヒサクロスクリニックへご相談ください。




