胃カメラでピロリ菌感染はわかる?治療方法や検査の流れを紹介
胃炎や胃がんのリスクが高いとされるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)は、胃カメラ検査で感染しているかの所見が確認できます。
ピロリ菌に感染していることがわかったら、除菌治療が行われますが、実際にはどのような流れで治療が進められるのでしょうか。
この記事では、胃カメラとピロリ菌について、検査方法や治療方法、胃カメラを受けたほうが良い人の特徴などを紹介します。
健康診断で要検査が出てしまった方や、家族にピロリ菌の感染歴があるなど、不安な方はぜひご覧ください。
ピロリ菌とは

幼少期に感染する可能性が高いとされるピロリ菌は、慢性的な炎症を引き起こし、胃潰瘍や胃がんのリスクを高めるとされます。
まずは、ピロリ菌について詳しく紹介します。
ピロリ菌の感染経路
ピロリ菌の感染経路は完全に解明されていませんが、主に幼少期に感染すると考えられています。
ピロリ菌に汚染された井戸水の摂取、家族内での口移しなど、衛生環境に問題があった場合に感染する可能性が指摘されています。
大人になってからの新規感染が少ないとされる理由のひとつは、日本での上下水道が整備されて若年層の感染が減ったことです。
そのため、除菌治療が成功すれば再感染のリスクは比較的低いとされてます。
胃炎や胃がんの原因になる可能性
ピロリ菌は、胃の粘膜に感染して慢性的な胃炎を引き起こすことがあります。
慢性胃炎は胃がんのリスクを高めるとされ、胃がんの多くにピロリ菌感染が関与することがわかっています。
また、除菌治療によって胃がん発症リスクを下げられる可能性がある一方、除菌後も感染していない方に比べるとリスクは高い状態です。
ピロリ菌感染が一度でもある方は、医師の判断のもとで定期的な胃カメラ検査を受ける必要があるとされます。
胃カメラによるピロリ菌の検査

胃カメラでは、ピロリ菌の感染がすぐにわかるわけではなく、組織を採取して検査をする必要があります。
ここでは、胃カメラによるピロリ菌の検査について紹介します。
胃カメラによって組織を採取する
胃カメラ検査では、胃の粘膜を観察しながら必要に応じて組織を採取し、ピロリ菌感染の有無を調べることがあります。
ピロリ菌そのものは目で見える大きさではありませんが、感染に関連した胃粘膜の変化がみられる場合があるため、内視鏡所見から感染が疑われた場合、確定診断のために追加検査を行います。
検査方法は、状況や服薬内容などによって異なり、医師の判断によって選択されるのが特徴です。
胃カメラでわかるピロリ菌感染の所見
胃カメラでは、ピロリ菌感染によって起こりやすい発赤、びらん、粘膜の萎縮などの所見が見られることがあります。
これらは萎縮性胃炎などの背景所見として説明されることが多く、内視鏡で観察すると、現在感染している可能性や過去に感染していた可能性、感染したことがない可能性をある程度推測できます。
ただし、内視鏡の所見だけでは確定できないため、疑わしい場合は組織検査に加えて呼気検査や便検査を行い、総合的に判断するのが一般的です。
ピロリ菌に感染していない場合の胃の状態
ピロリ菌に感染していない場合、胃粘膜に萎縮や慢性的な炎症を示す所見が乏しいとされます。
胃カメラで観察したときに、粘膜の模様が比較的整って見える、感染に関連する変化が少ないなどが挙げられます。
ただし、胃の状態は食生活や薬剤、体質などの影響を受けるため、感染しても胃に異常が現れないこともあると覚えておきましょう。
症状がある場合や、健康診断で指摘された場合は、医師の判断で追加検査が行われます。
胃カメラでのピロリ菌検査の費用について
胃カメラの費用は、検査内容(観察のみか、生研やピロリ菌検査を受けるか)、鎮静剤の有無、病理検査の有無などで変動します。
また、保険適用になるかは、慢性胃炎の診断や検査目的によって判断されるのが一般的です。
医療機関の案内では、保険診療でピロリ菌検査を勧める場合、制度上まず胃カメラで胃の内部を確認する必要があるとされます。
具体的な金額はクリニックごとに異なるため、受診前に確認すると安心です。
胃カメラ以外のピロリ菌検査

ピロリ菌は、胃カメラで組織検査を行う以外に、以下の方法も用いられます。
呼気検査
尿素呼気試験(UBT)は、飲んだ検査薬の分解によって発生する呼気成分を測定し、ピロリ菌の有無を調べる方法です。
各国のガイドラインでも信頼性が高い検査として紹介されることがあり、特に除菌後に成功判定をする目的で用いられる点が特徴です。
一方で、検査前の絶食が必要な点や、胃薬や抗菌薬の影響を受けやすいことがあるため、一定期間の休薬が求められる場合があります。
血液検査
血液検査では、ピロリ菌に対する抗体価を測定して感染の可能性を調べます。
採血だけでできるため患者さんへの負担が少なく、健康診断などで用いられることもあります。
また、胃薬を使用していても検査できる点がメリットです。
ただし、抗体は過去に感染があった場合でも一定期間残ることがあるため、除菌後の判定には解釈が難しいケースもある点には注意が必要です。
便検査
便中ピロリ菌抗原測定法は、便に含まれるピロリ菌特有の抗原を調べる検査です。
検便が必要な手間はあるものの、医療機関によっては、胃薬を飲んでいても影響が少なく、正確に検査しやすいと案内されることがあります。
感染診断として使用されるほか、除菌後の判定に利用されることもあります。
検査精度は適切な採便や提出方法によって左右されるため、採取手順は事前に確認して医師の指示通りに行うことが重要です。
ピロリ菌の治療方法

各検査でピロリ菌に感染していることが判明した場合、治療が行われます。ここでは、ピロリ菌の治療方法について詳しく紹介します。
除菌治療
ピロリ菌の治療は、一般的に抗生物質2種類と胃酸分泌抑制薬1種類の3剤を1週間内服する方法で行われます(一次除菌)。
一次除菌で除菌できない場合、抗生物質の組み合わせを変えて同様に1週間内服する二次除菌が行われます。
一般的な医療機関の説明では、二次除菌までで除菌に至る方が多い傾向です。
除菌後は、1~2か月以上開けて呼気検査や便検査などで成功判定を行います。
除菌治療の副作用について
除菌治療の利点は、比較的短期間で行える点ですが、抗生物質を含むため副作用が出ることがあります。
下痢、軟便、気分不快、味覚障害、アレルギー反応などが一例です。
ほとんどは軽度で自然に改善することもありますが、症状が強い場合や蕁麻疹、呼吸苦などが出た場合は、早めの受診が求められます。
自己判断で中断すると除菌の成功率に影響を与えることがあるため、副作用が気になるときは医師の指示を仰ぎましょう。
胃カメラ検査を受けるタイミング

胃カメラはなかなか自分から受けようと思える検査ではないかもしれませんが、以下のような症状があったり、環境によっては早期受診が推奨されます。
胃の不調や違和感が続いている
胃の不調として、胃もたれ、胃痛、吐き気、食欲低下などが続く場合、胃炎や潰瘍などが背景に隠れていることがあります。
ピロリ菌感染が関係するケースも考えられるため、症状が続くときは医療機関へ相談し、必要に応じて胃カメラ検査を検討しましょう。
胃カメラでは、炎症や潰瘍、腫瘍性病変の有無などを直接確認でき、ピロリ菌感染が疑われる所見があれば追加検査につなげられます。
ただの不調だと我慢して自己判断せずに、早めの受診を検討してみてください。
吐血、下血などがある
吐血や黒い便(タール便)などがみられる場合、消化管出血の可能性があり、緊急性が高いケースもあります。
胃・十二指腸潰瘍や胃炎、腫瘍などが原因となることもあるため、早急に医療機関を受診し、医師の判断のもと胃カメラ検査を検討しましょう。
ピロリ菌は潰瘍の発症に関与する場合があるため、必要に応じて感染検査や除菌治療が検討されることもあります。
家族にピロリ菌感染者がいる
ピロリ菌は主に幼少期に感染すると考えられており、家庭内に感染者がいると何らかの形で感染が広がる可能性が指摘されています。
家族にピロリ菌感染者がいる場合、本人も感染している可能性が高まるため、検査を検討するきっかけになるでしょう。
特に、胃の不調がある場合や、健診で胃炎を指摘された場合などは、クリニックで相談することをおすすめします。
健康診断で要検査と判定された
健康診断や人間ドックで「胃炎の疑い」「萎縮性胃炎」「要精密検査」などを指摘された場合、胃カメラ検査が勧められることがあります。
胃カメラでは粘膜の状態を直接確認でき、ピロリ菌感染を疑う所見があれば追加検査で確定診断につなげられる点が特徴です。
また、健診で胃カメラを実施しない場合には、血液検査や便検査が用いられることがあります。
喫煙者、過度な飲酒をする方
喫煙や過度な飲酒は、胃粘膜への負担となり胃炎の悪化や潰瘍のリスクを高める可能性があります。
ピロリ菌感染がある場合、炎症が続きやすいと考えられるため、生活習慣に不安がある方は胃の状態を確認する目的で胃カメラ検査を検討してみてください。
胃カメラはピロリ菌感染の推測だけではなく、ほかの疾患の早期発見にも役立つため、特に症状がある場合や健診で異常を指摘された場合は胃カメラを受けるきっかけとなるでしょう。
胃カメラ検査の流れ

胃カメラ検査は、胃の中を確認する検査となるため前日から食事の制限などがあり、検査終了後も注意事項があります。
最後に、胃カメラ検査の流れについて詳しく紹介します。
検査前日
胃カメラで胃の中を観察するためには、前日から食事内容や食事時間に気を付ける必要があります。
一般的には、消化の良い食事を早い時間に済ませ、夜以降は絶食するケースが多いですが、詳細は医療機関の指示に従ってください。
また、常用薬がある場合は、検査に影響を及ぼす薬がないか確認する必要があります。
医療機関によって異なりますが、基本的には事前診察が行なわれ、検査方法の確認や注意事項についての説明があります。
不安な点は前日までに確認し、当日を迎えるようにすると安心です。
当日の検査準備
検査当日は、医師や看護師から指定された時間に来院し、問診や同意確認を行うのが一般的です。
胃を観察しやすくするために、胃の泡を消す薬を飲んだり、喉や鼻の麻酔を行ったりします。
鎮静剤を使用する場合は、検査後にふらつきが残る可能性があるため、自転車や車の運転は控えるよう指示されます。
服薬の制限や水分摂取の可否はクリニックによって異なることがあるため、医師からの指示を確認して当日は体調を整えましょう。
検査
胃カメラ検査では、内視鏡を用いて食道、胃、十二指腸の粘膜を観察します。
ピロリ菌自体は目視できませんが、発赤やびらん、萎縮など感染に関連する所見が疑われる場合は、組織採取を行って確定診断を行うことがあります。
検査時間は観察のみであれば短時間で終わることが多い一方で、生検を行う場合は追加の処置が行われるため、その場合の時間の目安も確認しておきましょう。
検査後は回復室で休む
検査後は、麻酔や鎮静剤を使用した場合に備えて、回復室でしばらく休むことが一般的です。
鎮静剤を使用した場合、眠気やふらつきが残ることがあるため、当日は無理をせずに安静に過ごしましょう。
食事の再開は麻酔が切れてからとなり、医師から目安時間が案内されます。生検を行った場合は、刺激物やアルコールを控えることもあります。
結果説明
胃カメラの観察結果は、当日に医師から説明を受けることが多いです。
一方で、生検や病理検査、ピロリ菌検査の結果が必要な場合は、後日改めて説明の機会が設けられます。
内視鏡所見からピロリ菌感染が疑われる場合でも、確定には呼気検査や便検査、組織検査などの結果を踏まえた総合的な判断が必要です。
検査後の注意事項
検査後は、喉の麻酔が残っている間は飲食を避け、医療機関の指示に従って食事を再開します。
鎮静剤を使用した場合は、当日の自転車、車の運転を控え、重要な判断を要する作業も避けるのが一般的です。
生検を行った場合、少量の出血が起こる可能性もあるため、激しい運動や飲酒を控えるよう指示されます。
腹痛、吐血、黒色便などの異常があれば、早めに検査を受けたクリニックに連絡しましょう。
まとめ
胃カメラは、ピロリ菌感染が疑われる胃粘膜の所見を確認できる検査です。
必要に応じて、その他の検査と組み合わせて確定診断を行います。
症状がある方や健康診断で指摘された方は、早めにクリニックに相談することをおすすめします。
新宿トミヒサクロスクリニックでは、新宿という土地柄を生かしさまざまな医療機関と連携を取りながら患者様に適した治療を行います。
ピロリ菌感染が不安な方や、胃カメラを受けたいと考えている方は、ぜひご相談ください。




